僕は 振り向いて見ている
ひき返さぬと決めた道を 見ている
その道端には ひとひらの秋の風が静かに渡り
あの頃 きみとふたりで見た 黄色いパンジーが
風に揺られて 僕を 呼んでいる
風に揺られて 僕を 呼んでいる
やがて 夜のとばりがおり 降りだした 冷たい雨
僕は 振り向いて見ている
引き返さぬと決めた道を 見ている
1年ぶりの きみからの 「逢いたい」は
僕の望んだ 幸せの報告ではなく
助手席で ただ ただ 涙こぼすきみの肩を
あたためることしか 僕にはできず
「だいじょうぶだよ きっと 幸せになれる」
僕の言葉は
車を叩く雨の音に かき消されたかもしれない
今はもう
きみの 涙を
拾うことすらできない 僕の心にも
雨は
雨は
雨は
こぼれ おちてくる
泣きはらしたきみの目が 僕の目を 逃がさない
ふわり 吹いた 雨まじりの この風のせいだね
僕は 振り向いて 見ている
引き返さぬと決めた道を 見ている
あの日別れた あの分かれ道
立ち尽くし きみが 泣いている
僕は ゆっくりと 歩きはじめる
僕は ゆっくりと 歩きはじめる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
☆記事中の写真は、
RainDropさんから貸していただきました。 いつもありがとうございます
※もちろん、僕は、彼女に背を向けて歩きはじめたのです。